肥満症における食行動の特徴ーオードリー・ヘップバーンと対比して

「アイダギッダッパイゴダプロデクティ」

名画「ローマの休日」の一場面、新聞記者ジョーがローマを訪問したアン王女をネタに一儲けしようと、友人のカメラマンアービングに話しかけた言葉です。

”I dug it up, I got to protect it.”
「僕が掘り当てたネタだから、守らないと!」

ジョーに扮するグレゴリー・ペックはこれをわずか2秒足らずで発音するのですが、何度聞いても全く聞き取れません。

ただ単に早口で喋るだけでなく、単語と単語がつながって発音されたり、単語の一部の音声が変化したり脱落したりするというアメリカ英語の特徴のためです。

そんなネイティブの喋るアメリカ英語を聞き取れるようになりたい!

一念発起した私は、今年の1月元旦から「You Tubu・サマー先生と英会話」と「ローマの休日を観るだけで英会話の基本が身につくDVDブック」を今日まで毎日欠かさず視聴しています、が・・・( TДT)

話がそれてしまいましたm(__)m

さて、アン王女に扮するのは、今なお世界中で愛され続ける銀幕の妖精オードリー・ヘプバーン。

可憐で華やかな伝説のハリウッド女優である彼女が、チェーンスモーカーであったことを知るひとは少ないのではないでしょうか。

彼女が1日に「KENT」を3箱も吸うヘビースモーカーになったのは、父との確執や、愛に飢えた苦悩などからくるストレスによるものと言われています。

このようにストレスには心やからだの変化を及ぼす影響があることを多くの方がご存知でしょう。

それではストレスは他にどのような影響をわたしたちに与えるのでしょうか。

① 身体的な変化・・・疲労、動機、腹痛、吐き気、めまい、頭痛、肩こり、腰痛など

② 感情の変化・・・イライラしやすい、怒りっぽくなる、悲観的になるなど

③ 行動の変化・・・むちゃ食いや気晴らし食いがが増える、買い物やギャンブルが増える、酒やタバコが増えるなど

肥満外来に訪れる多くの患者さんは、一様に「◯◯◯(ストレスの原因)のためにむしゃくしゃして食べちゃう」と口をそろえます。

心配、怒り、悲しみ、不安、虚しさ。

これらの感情から逃れるため食べるのです。

つまり食べることで自分の感情をコントロールするのです。

そしてもうひとつの特徴は、「減食とその挫折を繰り返す」こと。

これは以前お話した「減量病」、「ウエイトサイクリング」、「体重のヨーヨー現象」とよばれている現象です。

食欲は基本的な欲求で、長年の生活や生き方の上に形成されていますので、厳しい食事療法は誰しも容易にできることではなく、失敗しても当然なのです。

意志の弱さのためではなく、減食とその挫折を繰り返すことそのものが肥満症の病態であるととらえなければなりません。

肥満症でよくみられる食行動にはこのようなふたつの大きな特徴があるのです。

冒頭の「ローマの休日」に戻ります。

この映画の見どころのひとつに、アン王女が初めてタバコを吸うシーンがあります。

映画が制作された70年前は、今日と異なり女性のタバコは一種のステータスでした。

オードリー・ヘップバーンのその他の映画でもしばしばタバコが小道具として登場して、彼女と映画を引き立てました。

しかしタバコによる健康障害は、当時それほど知られていませんでした。

彼女はどれだけそれを認識していたのか知る由もありませんが、ストレスからうつ病も患っていた彼女は、知っていたとしても禁煙できなかったのではないのでしょうか。

おそらく彼女は自分の感情をコントロールするためにタバコを吸っていたのでしょう。

ひょっとして禁煙とその挫折を繰り返していたのかもしれません。

わたしたちのむちゃ食いと同じように。

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