電車やバスに乗って座っているとついうたた寝をする。
これは当たり前のことだと思っていませんか?
日本人が多くいる海外に旅行して気づくことは、乗り物に乗ってうたた寝をしているのは決まって日本人だということ。
そして日本の通勤電車で座っているひとは、ほとんどスマホを手にしているか寝ているという現実。
「だって、日本は治安が良いから、外出先で眠っても安心」
いえ、治安の問題ではないのです。
下図のように日本は世界に冠たる睡眠時間の少ない国。
特に日本の女性は世界の中でも少ないですね。
上図は睡眠時間とメタボリック症候群の関係を示したグラフです。
縦軸にメタボリック症候群の重症度、横軸に睡眠時間を取りました。
睡眠時間が短いとメタボリック症候群が重症化していることがグラフより読み取れます。
ところが睡眠時間が9時間と長いグループもメタボの程度が上昇しています。
この現象は因果関係が逆で、肥満のために睡眠時無呼吸を引き起こしたり、精神疾患を伴っているグループでその結果睡眠が長くなっている、つまり何らかの病気があるため長く寝るという結果になっているグループです。
睡眠時間が短いと肥満になることは、人を対象とした実験で示されています。
下図はわずか2週間の睡眠不足(4時間睡眠)によって
308Kcal/日の食事量増加
0.5kgの体重増加
7.8平方cm(11%増加)の内臓脂肪増加
という結果が認められました。
「でも、長く寝れば痩せるわけではないでしょ?」
その質問の回答となる、人を対象とした実験結果を下図に示します。
過体重の健常者を2つのグループに分けました。
一方はいつもより2時間長く寝るように指示されたグループ(睡眠時間延長群:青色●)、一方はいつもの通りに寝るよう指示されたグループ(対照群:橙色●)。
4週間の実験の結果、対照群の1日摂取カロリーは変化しなかったのに対し、長時間睡眠群は対照群と比較して、1.2時間長い睡眠となり、270.4 kcal/日のカロリー摂取量が減少しました。
その上体重は0.87kg減少!
「寝ないで起きていた方がカロリーを消費して痩せやすいんじゃないの?」
誰もがこのように考えたくなりますよね。
実は、睡眠と体重は食欲調節ホルモンによって制御されているのです。
このことを証明する研究が米国で明らかにされました。
その要点を以下にまとめてみました.
食欲抑制ホルモンであるレプチンの血中濃度は、睡眠時間が短くなるにつれて低下し、食欲増進ホルモンであるグレリンの血中濃度は、睡眠時間が短くなるにつれて上昇する。
睡眠⇩ ー 食欲抑制ホルモン・レプチン⇩ ー 体重⇧
睡眠⇩ ー 食欲増進ホルモン・グレリン⇧ ー 体重⇧
睡眠時間と肥満は、ホルモン以外にも次のような機序が関わっていると考えられています。
睡眠不足により疲労感が高まり運動量が低下して肥満につながる。
睡眠⇩ ー 疲労感⇧ ー 運動量⇩ ー 体重⇧
覚醒時間が長いことでカロリーの摂取機会が増えて肥満につながる。
睡眠⇩ ー覚醒時間⇧ ーカロリー摂取機会⇧ ー 体重⇧
睡眠不足はふとるというこれだけの科学的エビデンス。
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