睡眠時無呼吸症候群は、とりわけ肥満の方には大変身近な病気です。
治療しないで放置していると、いびきや日中の眠気にとどまらず脳卒中や心臓病のリスク要因にも!
中等度以上の場合はCPAP(持続陽圧呼吸療法)、軽度の場合はマウスピースの装着によって症状は軽減できます。
根本治療は肥満を解消すること!
ただし、良い睡眠が取れていない状態、日中に眠気が残る状態では減量が困難ですので、肥満解消とCPAPまたはマウスピース治療を同時に行うことが治療のコツです。
また、すでにCPAPを実施している方はダイエットによって離脱も可能です。
・肥満
・いびき
・日中の眠気
・起床時の頭痛
・糖尿または高血圧
あなた、もしくはあなたのパートナーが、上の5つの内2つ以上当てはまる場合は必ず読んでください。
1つしか当てはまらない場合も、読むことをおすすめします。
1つも当てはまらなければ、閉じていただいて結構です。
日本人の睡眠時無呼吸患者の数は、軽症から重症まで合わせると約1,000万人と推定されているほど、実は身近な病気です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止してしまいます。
一般的な中等症のSASでは、平均2分に1回30秒前後、長い場合はなんと2分程度呼吸が停止します。
酸素飽和度も80%以下に低下する危険な場合も。
SASは、睡眠の質の低下のため、昼間の眠気などの症状を引き起こし、仕事の能率の低下や自動車等の運転に支障をきたします。
そのうえ、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気のリスク要因に!
なんとしても治療したい病気の一つですね。
SASの診断は、睡眠時の呼吸や心拍などを測定するポリソムノグラフィーという検査で行われます。
耳慣れない検査ですが、いつでもご自宅の寝室で簡単に行え、睡眠時無呼吸の有無を知ることができます。
いびき、日中の眠気や倦怠感、起床時の頭痛がある方はぜひ一度検査を受けると良いでしょう。
3割負担の保険適用の場合、約3,000円程度で簡易検査を受けることができます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、SASの中で約9割を占める最も一般的なタイプ。
OASAとは、睡眠中に上気道が部分的または完全に閉塞し、呼吸が一時的に停止する状態を指します。
睡眠中にこんな事が起きるているなんて怖い!
では、OASAの治療方法について順にご紹介しましょう。
持続陽圧呼吸療法(CPAP)治療とは、鼻マスクや口鼻マスクを装着し、そこから一定の圧力をかけた空気を送り込むことで、気道を開放して呼吸を改善する治療法です。
中等度から重度のOSAに適しています。
CPAP装置は、医師の処方によって使用することができます。
健康保険が適用され、3割負担で月額5,000円ほど。
CPAP治療のメリットとして、
- 治療効果が高く、睡眠中の無呼吸を激減させ、日中の眠気などの症状を改善する
- 脳卒中・心臓病や糖尿病・高血圧などの合併症の予防にも有効である
- いびきにも効果がある
CPAP治療のデメリットとして、
- 装置やマスクの持ち運びや管理がやや面倒である
- マスクの装着感が気になる場合がある
- 根本治療にはならないため、ダイエットと同時に行う必要がある
口腔内装置(マウスピース)治療とは、睡眠中に下顎を前方に固定することで、気道を広げて呼吸を改善する治療法です。
軽度のOASAに適しています。
マウスピースは、歯科医師によって個人に合わせて作製されます。
マウスピース治療のメリットとして、
- 持ち運びが容易で、出張や旅行先でも使用できる
- 装着感は普通、副作用が少ない
- いびきにも若干の効果がある
マウスピース治療のデメリットとして、
- 効果が個人差が大きく、定期的な調整が必要
- 歯や歯茎に負担がかかることがある
- 口臭や唾液分泌の減少などの副作用がある
OASAは、肥満や喫煙、飲酒などの生活習慣が大きく影響すると考えられています。
そのため、生活習慣の改善だけで症状が改善することもあり、CPAPからの離脱も可能に。
具体的には、次の5つを実践しましょう。
① 減量
肥満は、首周りに脂肪がつきやすくなり、気道を圧迫して閉塞しやすくなる原因。
このため痩せることがOASAの根本治療に繋がります。
BMIが25以上の場合は、医師の指導のもとで減量に取り組みましょう。
適度な運動と食事制限をバランスよく行うことが大切です。
それでも減量できない場合は、GLP-1などの医療の力も借りてダイエットすることも検討しましょう。
② 禁煙
タバコは、気道や鼻の粘膜を刺激して慢性的な炎症を引き起こします。
これにより、気道が腫れて閉塞しやすくなります。
また、タバコに含まれるニコチンは、筋肉を弛緩させて気道を支える力を弱めます。
禁煙は、OSAだけでなく多くの健康問題を予防するためにも必要です。
③ 飲酒制限
アルコールは、筋肉を弛緩させて気道を支える力を弱めます。
特に就寝前の飲酒は避けましょう。
また、アルコールは睡眠の質を低下させることも知られています。
④ 口呼吸の改善
口で呼吸すると、舌が後方に落ち込んで気道を閉塞しやすくなります。
口呼吸の原因は、鼻づまりやアレルギー、歯並びなど様々。
原因を特定して治療することが大切です。
また、口呼吸を防ぐためのテープやマウスピースなどの補助器具もあります。
⑤ ストレスの発散
ストレスは、自律神経のバランスを崩して呼吸が浅くなります。
これにより、酸素不足になって口で呼吸するようになります。
ストレスは避けられないものですが、上手に発散する方法を見つけましょう。
趣味や運動、リラクゼーションなどがおすすめ。