初めて料理、例えばカレーライスを作った日のことを思い出してみましょう。
茶碗2杯(300g)、豚肉150g、玉ねぎ1/2個、にんじん1/2本、じゃがいも1個(150g)、おろしにんにく小さじ1/2、サラダ油小さじ2、水400cc・・・などと、はかりや計量カップ・スプーンで計量しました。
料理初心者は、豚肉150gと指示されても、ピンとこないでしょう。
はかりで量ってはじめて重さを把握できます。
学生時代は、入学試験に先立って、模擬試験を受けることが必須です。
一度も受けなければ、その時点の学力を把握できず、志望校を決め出願することはできません。
そんなに食べてないのにというときでも、体重計に乗ってはじめて太ったことを知った人も多いでしょう。
自分の感覚だけに頼っていると、現状を見誤ります。
「計測」してはじめて正しく認識できるものなのです。
このため、医師や栄養士は、患者さんが正しく計測できるよう、食事運動の指導に際し、具体的な数値を指示します。
運動はウオーキングを1日30分あるいは4000歩、脈拍数100-110/分で、1日の食事は2000キロカロリー、油は大さじ2杯、ごはん茶碗1杯、野菜は350gなどです。
それでは睡眠についてはどうでしょう。
「確か、〇〇時にベッドに入った」「ぐっすり眠った(眠れなかった)」といった「定性的な」計測しか、自分ではできていないでしょう。
医師からも、指示は受けたことがないか、せいぜい7時間眠りましょう、早く寝ましょうといった程度ではないでしょうか?
食事、運動に並んで、睡眠は健康維持・増進にとても重要であるにも関わらず。
なぜ睡眠は、このように軽く流されがちになるのでしょうか?
その理由の一つには、睡眠は測定が容易でなく、具体的な目標を立てたり、指示を出したりしにくいということがあります。
時計だけでは、睡眠を正確に測定することは困難です。
何時何分に入眠したか、熟睡していたか、呼吸数は?脈拍数は?
自分の力で計測することができないからです。
しかし最近は、様々な睡眠計、睡眠測定器が容易に手に入るようになりました。
その精度は、医療用脳波計、筋電計と比較すべきほどのものではありませんが、以前より飛躍的に進歩しています。
睡眠時間は、自分の記憶と時計のみよりはるかに正確に測定できます。
その上、心拍数、睡眠の深さ・質などが測定できるようになっています。
私は、アップルウオッチにAuto Sleepというアプリを連動させて使用していますが、この機能によって、睡眠時間が短い日や、眠りが浅い日は仮眠をとる、心拍数が多い日は運動時間や強度を控えめにするなどの体調管理が容易になりました。
アプリによっては、いびき・無呼吸の検出や、浅い眠りの時に目覚ましを鳴らすなどの機能を持つものもあります。
睡眠計や睡眠計測アプリを上手に活用すれば、肥満や睡眠について悩みのある人、体調管理が大切なシニアだけでなく、すべての人の健康管理に役立つこと請け合いです。