マインドフルネス、瞑想というと、何もしない、呼吸や自身のからだの感覚に集中するというイメージがあります。
もちろんそれらも代表的なマインドフルネス瞑想ですが、自分のからだの動きを意識の錨にする方法もあり、ムーブメント瞑想と呼ばれます。
グーグルの社員研修でも行われている歩行瞑想は、典型的なムーブメント瞑想の一つ。
足の裏の地面をける感覚、足首・膝・股関節の動き、筋肉の複雑な動き、腕を振る様子などを、一つずつ細かく意識していく方法です。
歩行以外に、衣服の着脱、歯磨きなどの日常生活でムーブメント瞑想をすることができます。
私はシャワーを浴びる時に応用しています。
水滴が皮膚に当たる感覚、水滴が頭、顔、背中、腹、上下肢と流れる様子、シャワーの音、水温などをひとつひとつつぶさに意識する。
すると、文字通り身も心もスッキリ爽やかな気分に包まれます。
食べる瞑想もムーブメント瞑想のひとつで、よく利用されるのがレーズンです。
レーズン1粒を手のひらにのせて、観察することに集中してください。
どんな色?どんな形?表面のしわの状態は?つまんだ時の感触は?唇にふれた感触は?どんな匂い?
そしておもむろに口の中に入れる。
すぐには噛まないで、舌の上を転がしその感触を確かめ、にじみ出る唾液を意識し、ゆっくりとかみしめ、一粒のレーズンの本当の味を確かめる。
十分にかんだら、口の中がどう変化したか、飲み込んだときの喉や食道はどう感じたか?
このようにして食べると、レーズン1粒分だけからだが重くなった気がする、たった1粒のレーズンでも胃袋が満たされた感じがするものです。
いつもこのように食べれば、もっと少ない量で味わい充足感が得られるひともいるでしょう。
いつもはスマホを見ながら、一度にいくつも口に入れ、食べ終わらないうちに次に手を伸ばしている自分に気づくでしょう。
イライラしたり、落ち込んだりしたときには、気持ちを落ち着かせるために、つい食べ物に手を出してしまう自分に気づくでしょう。
食べ物に対する衝動というものは、それほど強くてコントロールし難いものです。
しかしこのレーズンによる食べる瞑想は、自分がしていること(食べていること)に意識を向けることで、自分の感情(食欲)をコントロールできるということを教えてくれます。
「肥満予防にひみこのはがいーぜ」のボウル法で食べる瞑想を行うのも◎。
あるいは一粒のレーズンの代わりに、一枚のポテトチップでも1個の唐揚げでも良いでしょう。
えっ、それも無理?
それではせめて1日1回はじめの10分間だけでも、スマホやテレビを消して考え事もしないで、ゆっくりと口の中に入っている食べ物だけを味わい尽くす食事時間にかえてみませんか?