「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来したのです」国連 グテーレス事務総長
観測史上最も暑い夏をいかがお過ごしでしょうか?
「夏バテだ」
「熱中症になった」
「1日中クーラーの下にいる」
「食欲がなくそうめんばかり食べている」
「夏になると太るんです・・・」
さまざまな要因で体調不良に陥る方がとても多い今年の夏です。
その要因のひとつに睡眠障害が挙げられます。
「いやいや私は毎日7時間寝ているよ」
このような声も聞こえてきますが、実は睡眠の質に影響が及んでいるのです。
とある人の今年の1-2月と6-7月の睡眠時間をグラフに示します。
どちらも7時間の「睡眠時間」が確保されています。
次に睡眠中の「深い睡眠」をみてみましょう。
6-7月はなんと1時間も短くなっているのです。
実はこの例はわたしの睡眠を示したのですが、やはり今感じている体の気だるさは深い睡眠の不足に由来するものであると考えています。
ましてや30分、1時間の睡眠が少なくなれば体調不良は一層大きく感じることになります。
MLBロサンゼルス・エンゼルス所属大谷翔平選手の投打にわたる驚愕の活躍は、彼の食生活とトレーニングに加えて徹底的な睡眠管理を抜きには語れないでしょう。
「一番大事に考えているのは寝ること」
「いつ寝るかの準備を数日前からしっかり計画的にやる必要がある」
普段からストイックなトレーニングや食事をしている彼は、コンディション管理の中で最も気を使っているのが睡眠だと言います。
インタビューのなかで、「もし一日1時間時間が増えるなら?」という質問に対して、大谷選手は次のように答えました。
「睡眠じゃないですかね。単純にそこに1時間増えるだけで、起きている時間のクオリティーが上がるので、そこはやっぱり大事かなと」
では大谷選手は一体何時間睡眠をとっているのでしょう?
「ナイターデー(ナイトゲームの翌日がデーゲーム)なら7時間、ナイターナイターだったら10時間から12時間くらいは寝ています」
「平均すると8時間半から9時間は寝る」
さらに大谷選手は次のように語っています。
「深い眠り・質が量と合わせて大事だと思います」
そのために、特注のマットレスと枕に加えて、アイマスク、睡眠計測バンドや昼寝なども取り入れて睡眠の質と量にとことんこだわっているのです。
大谷選手がここまで睡眠にこだわる理由は、その疲労回復効果でしょう。
ではその効果を担っている正体は?
いろいろな要因がありますが、そのひとつは睡眠中に分泌される成長ホルモンです。
「大人でも成長ホルモンは分泌されるの?」
夜間を中心に大人でも分泌されます。
では成長ホルモンは大人ではどんな働きを担当しているのでしょうか?
これを知るために、何らかの原因で成長ホルモンの分泌が不足している状態ー成長ホルモン分泌不全の症状と合併症ーについて確認しておきます。
自覚症状
・つかれやすい
・スタミナ不足
・集中力が続かない
・性欲が減退する
・気力が低下
・うつ状態
合併症
・体脂肪が増える
・筋肉量が減る
・骨量が減る
・脂質代謝異常
・糖代謝異常
・皮膚がカサカサして薄くなる
・体の毛がややわらかくなる
成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き(平成30年度改訂). 日本内分泌学会雑誌 95 Suppl: 36, 2019 より
いかがでしょうか?
まさに成長ホルモンの役割は「疲労回復」、「美容・体型維持」、「生活習慣病予防」といって過言ではないでしょう。
もちろん成長ホルモンの効用は、MBLの大谷選手に限ったものではありません。
わたしたちのパフォーマンスにも大きく影響しています。
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌され、食事による血糖の上昇で分泌が抑制されます。
このため睡眠不足や夜遅い時間に食事を摂ると、成長ホルモンの恩恵を受けることができなくなってしまいます。
大活躍の大谷選手がとことんこだわる睡眠の重要性、ご理解いただけたでしょうか?