あなたが日常摂取する食事についてお尋ねします。
つぎのうち当てはまる項目はいくつありますか?
1.豆類が多い(豆腐や納豆も可)
2.全粒穀物が多い(シリアル、玄米、五分づき、雑穀米など)
3.果物が多い
4.ナッツ類が多い(ごまも可)
5.野菜が多い(じゃがいもは除く)
6.魚が多い(貝類、イカ、タコも可)
7.不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比が高い(オリーブオイルやサラダ油が多く動物性脂肪が少ない)
8.飲酒量が適量(ここでは1日に日本酒1合、ビール350ml以下としましょう)
9.赤身肉(豚肉牛肉)と加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)が少ない
1項目当てはまれば1点として計算します。
このスコアは地中海食スコア(Mediterranean Diet Score)とよばれます。
アメリカ人およそ38万人の食生活を調べ、その後5年間にわたる死亡率を調べた研究(Arch Intern Med.2007;167:2461)の結果を示します。
男女とも0-3点の人たちの死亡率を1とすると、4-5点の人たちはおよそ0.9、6-9点の人たちはおよそ0.8と点数が高いグループの方が死亡率が小さかったのです!(がんや脳卒中・心筋梗塞による死亡率も同様)
スペインで行われた13000人を対象として糖尿病の発症を調べた研究でも、スコアが低グループの糖尿病発症率を1とすると、中グループでは0.40、高グループでは0.17の発症率で、スコアが高いほど糖尿病にかかりにくいことが明らかにされました。
このようにヘルシーな地中海食は、ブルーゾーンを中心に饗されている食事です。
ブルーゾーン:100歳以上の人が多く暮らす世界の5カ所の長寿地域。
イタリア人医師ジャンニ・ペスが、国勢調査結果をもとにイタリア・サルデーニャ島に世界で最も百歳の男性が集中していることを発見し、ブルーゾーンという言葉をこの地に適用したのが始まりとされています。
ブルーゾーンは世界中に5つあり、ギリシャのイカリア島を加えてなんと5つの長寿地域のうち、2つが地中海沿岸に!
そんな地中海地域における食の様式を地中海食といいます。
ここでは、1993年「地中海食に関する国際会議」により定められた地中海食の定義をご紹介しましょう。
1.植物性食品(果物、野菜、パン、その他の穀物製品、豆類、種実類)が豊富であること
2.加工度を最小限にとどめた、季節折々のその地域で育てられた新鮮な食品を使うこと
3.典型的なデザートとして新鮮な果物を食べること
4.油脂類の主たる摂取源としてオリーブ油を用いること
5.少しか、適量の乳製品(主にチーズとヨーグルト)を食べること
6.卵の使用は週に4個未満であること
7.赤身肉の使用はまれであり、少量であること(赤身肉とは牛、豚肉を指し、鶏肉は含みません。脂肪を含めて赤身肉です。)
8.少しか、適量のワインを食事とともに飲むこと
この定義を参考に、わたしたちの食生活との相違を考えてみましょう。
地中海食というとオリーブオイルが代名詞!
日本でも日常的な食用油としてオリーブオイルを使用する家庭が増えてきましたが、まだまだ少数派のようです。
日本ではサラダ油を使うことがほとんど。
このサラダ油は原材料の違いによりいくつもの種類があり、そのうちなたね油とひまわり油はオリーブオイルに近い脂肪酸組成を有します。
このため油脂類の摂取は地中海食と同等と捉えて良いでしょう。
次は日本食と異なる点です。
前述したスペインでの地中海食スコアの研究と比較します。
日本人(30-49歳の平均)は圧倒的に穀類と豆類の摂取が多く、食物繊維、果物、野菜および魚介類の摂取が少ないのが現状です。(肉類と乳製品の摂取は同等)
この結果から私たちの食事をどのように修正したらよいか考えてみましょう。
まず1つ目は、たんぱく質源として魚介類の摂取を増やすことです。
幸い日本は海に囲まれた島国ですので、新鮮な魚介類が豊富に入手可能です。
これを利用しない手はありません。
次に着目すべきは、穀類の摂取が多く食物繊維が少ないという点。
これが何を意味するかといえば、精製された米、小麦を多く摂取しているということです。
裏返して言えば、全粒穀物の摂取がとても少ない!
そのためには主食を精製された白米や小麦から、玄米や雑穀米など精製度の低い穀類に置き換える必要があります。
3つ目めは果物と野菜をたっぷり食べること。
この3つと減塩を実行すれば、和食は地中海食に勝るとも劣らない食事となるでしょう。
このことは日本人の寿命が世界トップクラスであることによって証明されています。