お腹いっぱい食べたあとでも、なぜか食べたくなってしまう。
クリスマスにはあんなにたくさん食べたのにお正月料理がしばらく続いたあとにまた食べたくなる。
そして食べたあとに訪れるあの幸福感を運んできてくれる、ケーキ。
今回はケーキと幸福について科学してみましょう。
まずはじめに、私たちが「幸せだなぁ」と感じるのはどんなときでしょうか?
① 熟睡して目覚めたとき
② のんびりと日向ぼっこ
③ 緑の多い公園を散歩するとき
④ ペットと触れ合うとき
⑤ 友人との語らい
⑥ 家族恋人とのスキンシップ
⑦ 高額宝くじの当選
⑧ 受験就職の合格
⑨ 褒められる・認められる
こんなとき私たちの脳内からは、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、アドレナリン、ギャバ、エンドルフィンなど100を超えるほどの脳内伝達物質が分泌されています。
「幸せとはなにか」という問いに答えることはとても難しいことですが、その一つの答えとして「脳内に幸福伝達物質が十分に分泌された状態」とも言えるでしょう。
幸福伝達物質の中では、ドーパミン、オキシトシン、セロトニンの3つが特に注目されています。
「精神科医が見つけた3つの幸福」樺沢紫苑著によると、セロトニン的幸福は心と体、オキシトシン的幸福はつながり・愛、ドーパミン的幸福は成功・お金。
これらをあてはめるろ前出の①②③はセロトニン的幸福、④⑤⑥はオキシトシン的幸福、そして⑦⑧⑨はドーパミン的幸福を主に感じている状態といったところでしょうか。
加えて、セロトニン的幸福を基盤として、その上にオキシトシン的幸福を載せ、最後にドーパミン的幸福が積み上げればすべてを手に入れることができる、これを「幸せの三段重理論」と言うとのことです。
ここで大切なことは3つの幸福物質をセロトニン、オキシトシン、ドーパミンの順に積み上げていくことです。
心と体の健康が最初に手に入れたい要の幸福になります。
つながりによる幸福も健康であればいっそう身近になってきます。
そして他者との繋がりによって成功を手に入れるチャンスも増えてくるものです。
注意しておきたい点として、ここまでセロトニン、オキシトシン、ドーパミンがそれぞれの状況において単独で分泌されるとして話をすすめてきました。
しかし実際は複数の物質が分泌されることも普通です。
例えば、念願のアメリカツアーでグランドキャニオンを初めて見た瞬間には、セロトニンとドーパミンが大量に分泌されるでしょう。
憧れの彼女とデートが叶った彼には、オキシトシンとドーパミンが溢れ出ていることでしょう。
それではケーキを食べたときはどうでしょうか?
ケーキを食べると脳は、砂糖から手早くカロリーを摂取できたことから餓死することなく健康に生き延びられると理解して、セロトニン的幸福を手にいれます。
実はこのとき、もうひとつドーパミンも同時に分泌されます。
ドーパミン的幸福は他の2つの「穏やかな幸福」と異なり、高揚感や興奮がともなう激しい幸福で努力してそれを目指したくなります。
そして「もっと、もっと」という状況へと依存状態に陥りやすくなります。
これがケーキは別腹と言われる由縁であると考えられます。
なぜケーキはドーパミンも分泌させるのでしょうか?
その理由はケーキはただ砂糖で甘いだけでなく、動物性脂肪もふんだんに含まれているからです。
私たちは動物性脂肪にハマってしまいやすく、もうひとつケーキ用のお腹を用意させる原因になっているのです。
次回はこの動物性脂肪の魔力について紐解いてみましょう。